20代で身につけたい 質問力
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概要
社会の変化が激しく、昨日まで機能していたビジネスモデルや考え方が明日には通用しなくなる可能性がある。従ってこれまで上司が成果を出してきたやり方が今後も正しいとは限らず、会社や上司の指示や命令通りに仕事したから上手く保証はどこにもないのが現状。「正解」がどんどん変化している時代ではたくさんの正解を知っているよりも、「考える力」を持っていることが重要になる。
「なぜ問題が起きているのか?」「どうしたらうまくいくのか?」といったことを自問自答したり、まわりの人に問いかけたりすることによって、「考える力」が養われる。そのスイッチを押すのが「質問」で、この質問が上手いと以下のような観点で良くなる。詳細は各章に書かれている。
人間関係が良くなる
問題解決が上手くいく
人を動かすことができる
自己成長につながる
次からは各パートで重要そうな項目をピックアップしてまとめている。
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質問で人間関係が良くなる
思い込みを捨ててひたすら話を聞く(傾聴)
一方的に意見を押し付けるのではなく、質問することで相手の意図を汲むことでいい関係を保てる。
質問はできるだけ主観を入れずに、ただ聞くことを意識することで(可能なら相手が話したそうなところを質問することで)、相手はより話してくれるようになる。
対話でWin-Winの関係を作る
現実のビジネスの世界では「議論」や「会話」がほとんどで、議論だとどちらが勝つかという「戦うコミュニケーション」になり、会話だとただ話だけをして結論がでないことが多い。そこで「対話」という質問をベースとしたコミュニケーションを積極的に試みる。これは質問でお互いの目的を理解して、双方の目的が達成できるような新たな結論を導くプロセスで、人間関係も悪化せず、結論もより優れたものになっている。(7つの習慣の「第6の習慣:シナジーを生み出す」と同じ)
未来への質問をして、力を与える
過去に対した質問(なぜ失敗したか、なにが悪かったか)を多く使うとネガティブな感情を生み出しやすく、力をそいでしまいやすい。そこで未来に対した質問(何を学べたか、同じ状況になったら今度はどうしてみたいか)を積極的に使った方が、次につながりやすい。
質問で問題解決が上手くいく
「なぜだろう?」が問題を解決する
新しい情報が、すでに知っている情報や経験と結びつくときに私たちは新しい知識や考えを得ることができる。
例えば、あるプロ野球チームが快進撃を続けていたとして、友人が「なぜ、今年のチームはあんなに強いのだろうか?」という質問をしたとする。その時、あなたが「昨年のオフシーズンに選挙の大型補強をした」という情報を思い出したら、「大型補強をしたから、快進撃が続いているのだ」と説明できる。これにより「チームの快進撃」という新しい情報と「大型補強をした」という既知の情報が脳内で結びついたということになる。
このように、新しい情報が、既に持っている知識や経験と結びつくとき、私たちは「リフレクション(振り返り)」を起こしている。このリフレクションによって新たな知識や知恵を獲得できる。
このリフレクションを起こすには「なぜだろう?」という問いかけが効果的で、普段当たり前だと思っていることも疑問を持つことで新たなリフレクションを起こす可能性がある。
すでに知っている情報+新しい情報(質問)
↓
リフレクション
↓
新しい知識、新しい思考、問題解決
質問をつないで問題を解決する
現代のビジネスシーンにおける問題は、様々な要因が複雑に絡まりあって発生しているため、全ての問題を片っ端から挙げることは出来ないし、全てを解決することもできない。加えて、問題を分解して要因の1つを解決したとしても、要因同士がリンクしているため今度は違う問題が生じてしまう。
そこで、一つの問題点を起点に質問していき様々な問題点を洗い出していく。例えば、「売上が上がらない」という問題があったする。これに対し「どうして売上がが上がらないのか?」という質問をしたら、「商品力がない」という答えが返ってくる。それに対し、「どうして商品力がないのか?」と質問し、これを繰り返していく。すると、1つの問題は1つの要因によって引き起こされているのではなく、1つの問題に複数の要因が絡んでいることが分かってくる。
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(本から引用)
こうした問題点から重要度をつけていき、一番重要度が高いもの(レバリッジ・ポイント)を探す。これが最も改善すべきところで、これが改善することで連鎖的に最初に定義した問題も解消されることが多い。
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(本から引用)
「解決策」ではなく「問題」を設定する
問題解決のために会議や打ち合わせを行う場合は、メンバーが積極的に参加したくなるような魅力的な「テーマ設定」をする必要がある。しかし、現実では最初のテーマ設定で失敗していることがあり、よく見られる失敗ケースは「解決策」をテーマにしていることである。
例えば、「どうやってヒット商品を生み出すか?」というのが本当の問題であるにも関わらず、「どうやってマーケティング戦略を立てたらいいか?」というテーマを設定してしまうというものである。この場合、テーマを設定した人の頭の中では「ヒット商品を生み出すためにはマーケティングが必要だと思う。どのような戦略が必要だろうか?」という図式が勝手に出来上がっている。実は他の人は「商品力そのものがないからヒットしない」と考えていたり、「販売網に問題があるのではないか」と考えているかもしれない。この状態で解決策を議論してもいまいちかみ合わないし、仮に結論が出ても全員が腑に落ちる結論にはなっていないだろう。
従って、まずは「問題」を共有して皆と議論してから、具体的な「解決策」について議論する必要がある。
「時間軸を変える」と新しい発想が生まれる
現在の目の前にある問題にとらわれて良い解決策が出ないときは、「過去」と「未来」の視点で問題をとらえなおすと新しい発想が生まれることがある。
過去の視点なら「いつから現在の問題は発生していたか?」「過去においても同じことはあったか?」
未来の視点なら「この状態が続くと将来はどうなるか?」「来年も現在と同じ状況か?」
感情への質問がブレークスルーを呼ぶ
感情寄りの質問は「ビジネスに持ち込むものではない」と排除されてきたが、バランスよく取り入れると思わぬブレークスルーが起きることがある。
例えば、営業チームが売上の伸びないA商品について打開策を検討していたとする。しかし、なかなかよい解決策が出てこない。そんなとき、例えば「A商品を売っていて楽しい?」と聞いてみる。「いいえ」と答えが返ったら「どうすれば楽しくなるだろう?」と質問すると前向きなアイディアが出るかもしれない。
質問で人を動かす
人の脳は想像以上に話を聞き流していて、ほとんどは記憶に残っていない。しかし、中には記憶に残る話もあって、それは話の内容が自分の中に蓄積されている情報や経験と結びつき、リフレクションが起きたときである。これにより気づきが生まれたり、学習をしたり、ブレークスルーが起きたりする。
こうしたリフレクションは「質問」がキッカケになるため、人を動かしたいなら質問を投げかける必要がある。人は質問をキッカケに思考が働き、自ら気付きを起こして行動する。自分の頭で考えて、心の底から納得したときに、はじめて自発的な行動を起こす。
質問は鮮度が命
質問は鮮度が命で、「あっ、そうか!」「そうだ、これが聞きたい!」という新鮮なひらめきが起きたときに質問しなければ、他のメンバーにリフレクションがつながっていかない。
Aさんの質問がBさんのリフレクションを生み、Bさんの発言や質問がCさんのリフレクションを生む・・・。こうした「つながる質問」が発生したときにこそ、効果的なアイデアや解決策が生まれるもの。
とはいえ相手の話の途中で質問をはさむのは勇気がいるものだが、基本的には短い質問をする程度ならそこまで問題ない。「最少の言葉で入って、最少の時間で出る」がコツで、瞬発力のある質問をしていくべき。
尋問・詰問を防ぐ「We視点の質問」
「なぜだろう?」「どうしてだろう?」という質問は、自分にも他人にもリフレクションを引き起こし、思考や発想を豊かにする効果がある。しかし、シチュエーションによってはその言葉が適さない場合がある。例えば仕事が上手くいっていない相手に対して「なぜ、○○ができないのですか?」と聞くと尋問・詰問になってしまう場合がある。なぜなら「本当はできていないとマズいのに、なんでやっていないんだ!」という意見・判断と感じ取られる可能性があるためである。(ただし、ある程度信頼関係がある状態なら新しい気付きを与える質問に変わり、必ずしも使ってはいけないワードではない)
これを防ぐには「We視点の質問」をするように心がけるとよい。
尋問・詰問と捉えられる可能性のある質問
・なぜできないのですか?
・なぜやろうとしないのですか?
・なぜダメなのですか?
We視点の質問
・(私たちは)どうしたらできるようになるだろうか?
・現状を打開するためにどんなサポートがあればいいだろうか?
質問が自分を育てる
4つの「振り返り質問」
自分の成長を促すために定期的に振り返りをすることが大事だが、主に4つの観点で振り返ると良い。
・私は上手くやっているか?
・どうしたら、もっとうまくやれるのか?
・何を学んだか?
・何が今後に活かせるか?
仕事が充実していたのはどんなときか?
なんかモチベーションが上がらなかったり、何のためにやっているのか分からなくなってきたときに「これまでの仕事で一番充実感を得ていた時を思い出す」といい。これをすると自分がやっている仕事の意義や重要性を再認識し、仕事に対して前向きな気持ちになれる。(7つの習慣でいう原則)
「捨てたいもの」を意識すれば自己成長につながる
「あなたは何を達成したいですか?」は答えやすいが、「持っているが、いらないものは何ですか?」という問いはピンとこない場合が多い。これは、捨てたいものを差していて、「余計なプライド」「あせり」など自分の欠点が入っている。
こういった自分の価値観に関する分析で、「持っている/持っていない」「欲しい/いらない」という観点で分類すると以下のような項目に分けられる。捨てたいもの、回避したいものは普段意識しないもので、これが明確になって意識することができる。捨てたいものを意識すると自己成長につながり、回避したいものを意識するとその価値を守る行動を取ることができる。
保存(持っている x 欲しい)→すでに手に入れているもの
達成(持っていない x 欲しい)→達成したいもの
除去(持っている x いらない)→捨てたいもの
→余計なプライド、あせり、無駄遣い、食べすぎ、飲みすぎ、ダラダラ生活、気弱 など
回避(持っていない x いらない)→回避したいもの
→病気、借金、上司とのあつれき、家族との不仲、友情崩壊 など
※捨てたいものを具体的にどう捨てるかは『やめる習慣』を読むと良さそう 3つのタイプをバランスよく使う
人間には大きく分けて3つのタイプがあり、各要素の大小は人それぞれ。苦手なタイプは積極的にそのタイプの質問を考えて、バランスの良い視点で物事を捉えるようにする。
・夢想家(ドリーマー)
他の人が思いつかないような画期的なアイデアを思いつくが、実行性には欠ける。
・現実主義者(リアリスト)
アイデアを計画に落とし込み実行するのが得意だが、夢想家のようなアイデアを考えるのは不得意。
・批評家(クリテーク)
客観的に分析する能力が高いため問題解決のための分析は得意だが、対象の批判をすることに忙しく、実行力に乏しい面がある。
感想
4章構成になっていて、各章の中に見出しとなる項目があって全体を把握しやすかった。概要をまとめるつもりがほとんどこの項目をピックアップするだけというのもあった(笑)。
例えが丁寧で、図も多用されているためイメージがしやすかった。
時間軸をずらした質問、We視点の質問は読んでいて初めて知ったもので、他にも大事なものがたくさん書かれていた。改めてのこの本は結構重要なことを書いていると思った(なんとなく読んでいた時はそこまで思っていなかった・・・)。
ただ結構質問のレベルが高くて、回答側のスキルが足りないと上手くいかないんじゃないかなって思ったりした。例えば次のステップにつなげるためにいきなり「次やるとしたらどんなことをしますか?」という質問を出されてもポカンとしてしまうかもしれない。PDCAを考えるなら、まず問題点を洗い出し、それを解決するためのアクションを考えなくちゃいけなくて、先ほどの質問だと過去の振り返りをスキップしていきなり結論を聞こうとしている気がしている。ネガティブと言われがちだが、順序だてるために「何が問題点でしたか?」と聞くこと自体は間違いではないとは思った。
また相手が色々言いやすいように回答の自由度をあげる方法はあるが、これも回答側にそもそもアイデアがなかったりすると回答に困窮してしまう。質問のレベルが高すぎて結局リフレクションを起こせないから、「はい/いいえ」で答えられるような簡単な質問にしたり、あえて自分の意見を添えてみて考えに相違ないかの確認を取るような質問をしたり、相手に合わせて質問のレベルを調整しないといけない場合があると思った。この辺は本の内容を鵜呑みにしていると危ないかもしれない。